自主性・主体性の育つ条件・環境とはどういうものでしょうか。
自由にやりたいことをやりたいようにすることが自主性を伸ばしているといえるでしょうか?

大好きな電車 幼稚園年少男子・好きなモチーフは飽きることなく描けるもの。好きだから細かく観察する。

「自由」とは解釈が難しい言葉であるといえます。
解釈が違うと「放任」になる場合も考えられます。
一見自由活動が活発に見られても、その活動の持続性や高度な段階へのステップアップ、経験の深まりが行き届かずに終わってしまいます。
反対に管理・統制が強いと自発的な活動意欲が失われ、環境や体験が貧しいものになります。
子どもの興味や関心は大人によって遠ざけられるため、自主的に考え行動する人間は育ちにくいと言われています。

電車の好きな子は、電車を描きたいと思うものですよね。
仮面ライダーが好きな子は、仮面ライダーを、ドラえもんが好きな子はドラえもんを描きたいと思うものです。
アトリエのAくんは小さい頃から電車が大好き。
親子クラスの頃から電車に興味を持っていました。
アトリエまでは電車に乗って来ます。
駅の名前もとても良く覚えていました。
車掌さんのアナウンスも一字一句覚えています。
ある時から、謎の線を描き出しました。

東京の路線図・幼稚園年中 線が色分けされている

それは東京の路線図でした。
路線図はどんどん進化して、駅名までも描けるようになりました。

大江戸線・字がかけないところはママが補ってあげています

電車が好きから始まり、路線図を描くようになり、字にも興味が広がりました。
まさにこれが主体的な学びなのです。
より高度な次元の学びにステップアップするのをママがアシストしています。

「極めて僅かな体験でも一般化してそれからどれだけの理論(あるいは何らかの知的内容)を作ることはできるが、体験を無視した理論は理論としてさえ理解され得ない。」
と*デューイは述べています。
Aくんは電車に乗る機会が頻繁であり日常に溶け込んでいることから、触れる環境や体験が自然とできているのです。
そこから電車に興味持ち、主体的にに路線図や電車を絵に描く活動へつながっているのですね。
電車から地図へ地図から世界へ興味を広げています。
好きなことがある子は、大人が邪魔をしなければ主体的な活動へスムーズに移行できます。
生活のすべてがその子の環境です。
アトリエでは、その子の好きなものや事をすくい上げて、興味関心が広がるような働きかけを意識して活動しています。

*デューイ 
ジョン・デューイはアメリカの心理学者・哲学者・教育思想家。

課題制作・材料などからも興味関心に働きかける【小学生クラスのガラス講座】

アトリエでは課題制作・材料の提供により、子どもの興味関心に働きかけをしています。
興味関心のスイッチが入るか否かはその子にかかっていますから、同じ環境を与えたとしてもスイッチの入り方・受け取り方はそれぞれ違います。
夢中になれるものや事をアトリエ活動で見つけていただければ嬉しく思います。
好きなこと、夢中になれることを持てるかどうかが、主体性が育つ条件であることは間違いなさそうですね!