アトリエでは今年の大イベント「ミツバチからの贈り物WS」の最終章として「蜜蝋キャンドルを作るWS」が開催されました。
私がこのWSを企画した理由は、山田養蜂場のミツバチの絵画コンクールに参加した際に、子どもたちにみつばちについて話をしたところ、あまりミツバチのことを知らなかったことに由来しています。
最初は漠然と「本物のミツバチを間近で見られたら心の底から感じたものを絵にできるのではないか。」と考えていました。
子どもの表現は、体験から湧き出してくるものこそが大切と多くの幼児教育研究者から言われていることです。
自分でも調べるうちに、自分で採蜜した蜂蜜で何か作れたらこんなに素晴らしい体験はない!と考えるようになりました。
そんな時、今回お世話になった飯倉さんとご縁がつながりました。
今回の企画は、蜂をとおして様々な学びにつながりました。
第1弾は「養蜂家・飯倉さんとミツバチについて学ぶ」
第2弾は、「お菓子の先生・太田道子先生と蜂蜜を使ったスイーツ作り」
そして今回第3弾は、「蜜蝋キャンドル作り」です。
濃い黄色の塊が蜜蝋です。
100%国産、神奈川県は三浦産の蜜蝋です。
このような美しい色の蜜蝋になるまで、何回もゴミを取り除きます。
とても手間のかかる作業です。
蜜蝋の原料はミツバチの巣であることを知った子どもたち、ビックリ仰天です!
湯煎で溶かします。
とても良い香りです。
良い香りに誘われて、セイヨウミツバチがアトリエの中にやってきました。
どこの子でしょうね?
恵比寿にもまだまだミツバチが生息しています。
まずは制作前のレクチャーです。
画像を見ながらお話を聞きます。
養蜂家の巣箱には、1箱で1ファミリーおよそ4万匹いるとか。
1つの箱に女王蜂はたった1匹。
女王蜂の寿命は、およそ3年ほどなのだそうです。
働き蜂は(夏で)およそ40日。
そのうちの最後の14日ほどを蜜を集めに飛ぶのです。
最後のお仕事なのですね。
「ここについているうろこ状のが蜜蝋だよ。
この蝋を材料に巣を作ります。
触角を定規代わりに使って、六角形のお部屋を作っているよ。」
子どもたち、このお話にもビックリです。
真剣にお話を聞いています。
ハチの一生は、大変興味深いお話です。
働き蜂はみな女王の娘達です。
幼虫から成虫になったばかりのときはまだ飛べないこと、自分の巣の位置もわからないこと、最初は、幼虫のお世話や巣のお掃除をすること、そして段々とお姉さんになってくると外に蜜を取りに行くことを知りました。
花の蜜を集めているハチは、おばあさんのハチなのだそうです。
蜂蜜は、ハチのご飯。
女王蜂を頂点としたファミリーのために、働き蜂は一生懸命蜜を集めます。
私達人間は、その大切な蜜を頂いているのです。
はじめはきれいな色をした巣も、3年ほど経つとこのような色に変化します。
プロポリスの付着やゴミなどからこのような色になります。
お話を聞いたあとは制作です。
キャンドルの芯に蜜蝋をなじませます。
デモンストレーションを一生懸命見ます。
キャンドル作りに挑戦です。
芯に溶かした蜜蝋をつけます。
冷やすために水につけます。
その繰り返しを30回ほど続けると段々とキャンドルが太ってきます。
これくらいの太さになればOK。
芯の先と立てる部分をカットして出来上がりです。
次は「巣礎」を材料にくるくるキャンドルを作ります。
「巣礎」とは、蜜蝋でできたハニカム構造のシートのことです。
「巣枠」(木の枠)に「巣礎」を張り、ミツバチたちの巣作りに役立てるものです。
ヒートガンで温めて柔らかくします。
何もかもが目新しいので、子どもたちは集中して見ています。
芯をおいてくるくる巻けばステキなハニカムキャンドルの出来上がりです。
冷めて固まった蜜蝋を触らせていただきました。
もうさほど熱くはありませんが、まだ柔らかくその感触を体験しました。
来月は12月。
クリスマスが近いですね。
中世ヨーロッパでは、蜜蝋キャンドルが儀式に使われていたとか。
教会や修道院ではキャンドルだけではなく薬としての需要もあり、養蜂を行っていたのだと飯倉さんから教えていただきました。
都会に住んでいる子どもたちが、少しでも小さな虫に興味を持つことは非常に大事なことです。
大好きな絵を描くことやものを作ることから興味を広げていただければと考えています。
今回のWSは、多くの方々のご縁と協力によって、また、保護者の皆様のご理解ご協力により開催することができました。
心より感謝申し上げます。