よく「モチベーションアップ」とか「モチベーションが下がる」と言いますよね。 モチベーションとは「動機づけ」のことで、心理学の理論では大きく「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」の2つに分けられます。

内発的動機づけとは、自らの好奇心や興味、欲求から「知識を得たい」「活動したい」と思うことです。学習において非常に望ましい状態と言えます。 アトリエの活動で言うならば、「アトリエに行きたい」「制作をしたい」「もっと上手になりたい!」という、子ども自身の内側から湧き出る気持ちです。

一方、外発的動機づけとは、書いて字の如く「自分の外側(親、友達、先生など)」からのアプローチによって行動に移すことです。 例えば、褒められる(報酬)からやる、やらないと叱られる(罰)からやる、というようなケースです。

このように聞くと、理論的には「内発的動機づけ」の方が理想的に思えるかもしれません。 しかし、きっかけとして外発的動機づけを使い、そこから内発的動機づけへ移行することもあるため、一概に外発的動機づけが悪いわけではないと私は考えています。

私のアトリエの門を叩く方々は、小さいお子さんから小学生が主な年齢層ですが、特に園児の年齢では、まだ親御さんからの「外発的動機づけ(アプローチ)」がきっかけになっていることがほとんどです。
最初は、親御さんの教育に対するお考えや、アート思考への共感がスタートラインになります。

そこからアトリエでの活動が始まると、子どもたちの中に「絵を描くこと、ものを作ることが楽しいな」「もっと上手になりたいな」という内発的動機づけの欲求が芽生えていくのです。
現に、園児の頃にスタートして長く続けているアトリエ生は、チャレンジ精神が旺盛で、難しいことにも果敢に挑戦する姿を見せてくれています。

また、小学生から始められたお子さんも、園児時代にご家庭で上手な外発的動機づけをされてきたのだな、と感じる子ばかりです。自分の興味や関心に従って動くパワーが、すでに育っているのです。

私のアトリエには「もっと上手になりたい」「知らないことに挑戦したい」というお子さんが集まっているため、単純に「学校の図画工作の成績を上げたい」という目的で来られる方はまずいません。
もし評価だけを目的にしてしまうと、正解のないアートの活動は、かえって気持ち的に辛くなってしまう面もあるからです。

前回のブログでも書きましたが、アート思考とは「正解がない世界で、自分の表現をいかに表すか」を大切にするものです。
そこには学校の評価とはまた違った側面があります。 人真似ではなく「自分で考えた、自分だけのアイディア」「0から考えること」を非常に大事にしているため、アトリエの時間は考えることが多く、そのプロセス自体が貴重な学びとなります。

もちろん、先生と同じものを同じように作る「型」の学びも存在します。
技術的なことや道具の扱い方は「しつけ(ルール)」の一環であり、決まりを守ることは大切です。
しかし、「何を作るのか」「どんな色にするのか」は表現そのものであり、その子その子で違っていいわけです。
これこそが「主体性」であり、「自律性」なのです。

どんな時にやる気が湧く?わかない?

皆さんは、どんな時にやる気がアップしますか?

  • 競う相手(仲間)がいる時
  • 周囲の雰囲気が良い時
  • 褒められた時
  • 上達が目に見えてわかる時
  • リフレッシュした後
  • 周囲の人の声がけや応援がある時

これらはすべて、素敵なモチベーションアップの要素ですね。

では反対に、どんな時にやる気が下がってしまうでしょうか。

  • 失敗した時
  • 「今やろう」としたことを「やりなさい」と言われた時
  • 自尊心を傷つけられるような言葉をかけられた時
  • がんばりと成果(評価)のバランスが悪い時
  • 難しいことに挑戦して出来なかった時、何度やっても出来ない時

確かに子どもの頃、「今やろうと思っていたのに!」というタイミングで親から「早くやりなさい」と言われ、カチンときた記憶は誰しもあるのではないでしょうか。

また、自分が一生懸命取り組んでいることに対して、「そんなことやらなくてもいいだろう」「そんなことやっても無駄だよ」といった言葉をかけられるのは、最もモチベーションを削ぐ原因になります。

私たち大人は、このような言葉がけを絶対に避けなければなりません。
その一言が、子どもの挑戦や存在そのものの価値を下げてしまうからです。

私のアトリエでは、特に園児期のお子さんに対して「必ず気持ちよく、機嫌よくレッスンを終えること」を何よりも大切にしています。
時にはルールが守れずに注意され、シュンと凹んでしまうこともあります。
それでも最後には、「今日はここを頑張ったね!」とポジティブな言葉がけをして送り出します。
この時期は「素直さ」が一番の宝物です。その素直さを決して無くさないよう、細心の注意を払って声がけをしています。

一方で、小学生から新しく始められたお子さんの場合は、少しアプローチが難しくなるケースもあります。
ただ、それは年齢だけの問題ではありません。
小学生からスタートしてもすんなり馴染む子と、そうでない子の違いを見ていると、やはりそこには「親御さんのお子さんに対しての向き合い方」が如実に現れていると感じます。
ご家庭で日頃から肯定的な声がけをされ、興味・関心を上手に引き出されてきたお子さんは、小学生からであっても強い探究心を持って活動に入っていけるのです。

だからこそ、園児時代からアトリエを継続している子も、小学生から素晴らしいスタートを切る子も、根底にあるのはご家庭での温かい動機づけです。

子どものやっていることに、いかに価値を見出し、引き出してあげられるか。
大人はそれを肝に銘じて、子どもの「素真面目な芽」を伸ばす声がけをしていきたいものですね。